筑波大学編入学試験体験記
東京大学と併願で、筑波大学理工学群社会工学類を受験しました。通称「つくばの社工」。社会的問題を数理的アプローチによって解決していく、そのための問題解決能力を養うという近代的な学類*1です。
今回はこの学校の受験体験談をご紹介します。
長くなってしまったので、絶対にこの学校に行きたいんだ!という決心がついている方は5年4月まで飛ばしてください。もし、まだ筑波大学を受験しようか迷っているのであれば、私が経てきた大学選びの葛藤やアドバイスもなにか参考になるところがあると思うので、最初からぜひ、読んで下さい!
試験対策
きっかけ
高専4年生のころ、当時専攻していた電気・電子システム工学科の勉強は、将来自分がやりたいことではないのだと気づきました。代わりに興味を持っていることといえば、経営学、国際関係学、プロジェクトマネジメントなどでした。編入学制度を利用して領域変更できないかと考えたところ、自分がやりたいことに一番近いことを学べるのが、筑波大学社会工学類でした。
一般に、高専から医学部や外国語学部への編入はできません。よって、領域変更をしたくても大幅な変更はほぼ不可能であるというのが大学編入のデメリットです。どうしても変えたい人は、高専3年生で学校をやめ、大学入学試験を受けることをおすすめします。
社会工学類は、電気・電子システム工学科とはカリキュラムが全く違うものの、工学というくくりは同じであるため、編入試験制度を利用して入ることができます。"経営"工学以外にも、"デザイン"工学、"医用生体工学"、探せば"工学"と名の付く学部は全国にいろいろあります。高専生、大学生で編入を考えている読者の皆さんには、このような抜け道があることを知ってもらい、編入先の学部をよく考慮されることをおすすめします。
3年春休み
3年の終わりに、ZENPEN*2主催の合同説明会に初めて参加しました。この頃からおぼろげに受験を意識し始めました。高専4年生は勝負の年です。4年生になったら勉強を始めないと、いい大学には受からない。私の読んだ編入体験ブログには全てそう書いてあったからです。勉強を始める前には、まずどんな大学があって、試験はどういったもので、どれが一番自分が選ぶべきかを3年生の時点で知っておかなければならないと思いました。つまり、徹底した情報収集による計画力が重要です。
編入試験は高校生の大学受験に比べて圧倒的に情報がありません。参考書の選択肢も少なく、過去問題が出回っておらず(解答なんてもってのほか)、そしてなにより周りが理解していないためサポートを受けにくいです。そんな中で、マイノリティな編入生による、直接面談の機会を得られるZENPENは救世主です。オープンキャンパス以上に行く価値があります(笑)
この時、周りには4年生ばかりで3年生は私を含めて2人くらいだったように覚えています。「3年生から勉強始めたら、どこでも行けるよ!東大でも京大でも!」「ムリですよ〜」こんな会話をしました。
ここから推測できる仮設が2つあります。私がこれまで読んできた「低学年の頃から編入試験勉強コツコツやってきました」というブログの著者たちは、みんな嘘つきなのか。それとも、一人でやっていてこういう説明会には出てこないのか。未だに受験体験記を読んでいるとコツコツ型の人が多いように見受けられますが、周りには全然いないんですよね。真偽は置いておいて、最強なのは序盤は説明会にどんどん参加して情報収集しつつ、早期からコツコツ始められる人だと私は思います。
3年生から動き出す人は少ないけれど、だからこそ差がつけられます。それこそ東大や京大にだって行けます。4年生の春になって説明会で「どの大学にしようかな〜」と言っている人は流石に遅いですよ、大半が落ちると思います。ですから、3年の春がおすすめです。
このころは、特に将来やりたいこともわかっていなかったので、自分のレベルで少し(?)背伸びしたら届きそうな大阪大学、もしくは筑波大学の電気系学科に行きたいと考えていました。これは大学のイメージ、立地、そして先輩の姿から思いついただけのぼんやりとした理由でした。今になってみれば、この時の単純な考え方は危ないし、後に不幸を生むものであることがわかります。
運命というのは不思議なものです。この時に筑波大学の存在を知ったおかげで、筑波大学社会工学類を知り、結果的に、東京大学システム創成学科を知ることになりました。
4年夏休み
この年はラッキーでした。横浜国立大学と筑波大学のオープンキャンパスに連続で行くことができました。相変わらず春休みから勉強も、大学調査も進んでいなかったためそれぞれ電子情報工学科と知識情報・図書館学類を見に行きました。筑波大学は別の学類に行きたかったのですが、予約がすぐに埋まってしまったのでいけませんでした。早めに、申込みのチェックを始めましょう!
オープンキャンパスは大学の空気、場所、人などを生に体験できるので一度行ってみるとイメージが付きやすくなっていいと思います。高専生用のオープンキャンパスというものはなく、高校生に混じって行動しました。そのため入試説明や質問コーナーでは有力な情報が得られず、そういった点はZENPEN等高専生に焦点を絞った説明会の方が優れていると感じました。
この時、筑波大学を見学し工学部に編入した先輩の部屋に泊めていたいたこともあり、大学、学部というか、この学園都市が好きになりました。広いキャンパスと先端の研究設備、安いアパートに豊富な御食事処があります。ここで大学生活を過ごしたいと思いました。
なお、私にとって横浜国立大学の電子情報学科はしんどそうだったし、知識情報・図書館学類はつまらなさそうでイマイチだったので、パンフレットを見て他に楽しそうな学類ないかなと思って探し始めました。そして、社会工学類を見つけるに至りました。
そこからは、ホームページを見たり、在学中の先輩に連絡を取ってみたり、学類が出版している本を買ってみたりして勉強するうちにいつしかこの学類に夢中になっていました。
4年11〜2月
「よし、今日こそ始めるぞ!」
「よし、やるぞ!」
ずっと思っていたのにもかかわらず、なかなか始められませんでした。時間は無慈悲にも一定の速さで過ぎていきます。上記のブログには、編入勉強にはターニングポイントがあると書かれていました。夏休みが終わった10月、勉強の秋11月、冬休み12月、新年1月、春休み2月(毎月やんとか言わないで)...
ことごとく見逃しました。その敗因は、断捨離がうまくできていなかったからです。今はこの仕事で忙しいから。定期試験勉強があるから。TOEICガチるから。そうやって言い訳して、常に逃げていました。だから、誘惑を断ち切る必要があります。誘惑に弱い人間こそ、断ち切るべきであると思います。
自分に甘かったが故に、「3年生から勉強始めたら、どこでも行けるよ!」と言われた時期にあっという間になってしまいました。過去の私は絶望してください。
4年春休み
例のごとく、ZENPENに参加しました。今回は第一志望筑波大学、第二志望首都大学と決めた上で情報収集を完璧にした状態で臨みました。
この大学を受けるべきかという迷いが一切ない状態なので、高専から編入された先輩に聞くべきことを聞くことができて(参考書は何を使ったかなど)、1年間で成長は確かにあったかと思います。
ここで、誤算があったんですね。
つくばの先輩:「英語できるの?なら筑波余裕で受かるよ!」
英語だけは自信あるんです、数学ノータッチなんだけど…根拠もない自信がふつふつと出てきて、案外余裕かもしれんと思い始めてしまいました。
だから、東大の先輩に「は?まだ勉強してないとか無理だから辞めたほうがいいよ」と発破をかけてもらいに相談に行きました。そしたら、こう返ってきました。
とうだいの先輩:「東大、余裕だよ。」
聞くところによると受験科目は数学と英語だけです(志望学科による)。その後、いろいろと考えるところがあって、結果的に東大を受験することに決めました。
5年4月
説明会から帰宅数日後、仕事や予定を全て消化し終え断捨離ができたため、ようやく勉強を開始することができました。まずは筑波の過去問から解き始めました。この時は「案外いけるやん!」と思っていました。初見で半分は解けたからです。しかし、実はほとんど間違っていたことが6月くらいに発覚します。このやり方はおすすめしません。
筑波の試験は毎年、線形代数、積分、確率・統計です。線形代数ってどんな数学だ?状態と、高校生レベルの確率もできなかったのでまずは編入数学徹底研究を使って勉強し始めました。少しできるようになったら編入数学過去問特訓で演習量をカバーし、解けない問題があればスバラシク実力がつくと評判の線形代数キャンパス・ゼミや、スバラシク実力がつくと評判の統計学キャンパス・ゼミで確認、勉強しました。一ヶ月で、線形代数、確率、統計は一周しました。
5年5月
上の範囲は東大試験と被る範囲なのでいいのですが、東大でだけ出題される範囲があります。複素関数、ベクトル解析、確率漸化式です。東大第一志望と言っているためこれらを捨てるわけにもいかず、5月は東大対策をしていました。筑波大学は数学だけ、東京大学は数学と英語だけだから楽勝と考えていましたが、筑波大学で確実に出ない範囲の数学も勉強しなければならなくなり、騙された!と思いましたね(笑)
4月で筑波の出題範囲は大方カバーできているので、毎日復習をしつつ線形代数をキーポイント線形代数などを使って補強するくらいでした。
5年6月
筑波の出願は結構遅いです。しかも、名前や住所などを書くだけで封筒も書かなくていいし、調査書もいらないという楽さです。受験者数が多いがゆえに効率化されていて、面倒くさがりな人にとってはうれしいです。
勉強はというと、過去問を4年分、2〜3周解きました。男女数名が乗っているエレベータの問題など、過去に統計で難しい問題が出ていたので統計学の難問を探してやっていました。
5年7月
東大試験、首都大試験と序盤にあったため筑波対策はほとんどできませんでした。そして、東大の一次試験に合格したこともあり、その後はすっかり気が抜けていました。直前勉強も全然しておらず、面接前日には同じく本命が受かった気でいる友達とゴロゴロしていました。
宿泊には筑波研修センターがおすすめ!
大学まで バス+徒歩 所要時間40分
3700円(朝食なし)
おすすめポイント:おそらく、試験会場にいちばん近く、いちばん安いです。ホテルではなく研修施設なので、ルームサービスもなく内装はまるで寮のようですが、受験のために来ていることを考えれば十分だと思います。Wifiなし、テレビなし、エアコンあります。銭湯での入浴の際にはバスタオルの持参が必須なのでご注意(貸出有料)ください。目の前にコンビニがあり、食事はそこで済ませました。付近にはお食事処も幾つかあります。
試験当日
一日目土曜日筆記試験
・科目が数学のみ
・TOEIC点提出(聞いたところでは730点くらいで満点)
数学
10:00〜12:30
・大問6つ
①線形代数(ブロック行列) ②線形代数(固有ベクトル) ③積分(一変数関数の連続性、微分可能性) ④積分(不定積分4問) ⑤確率・統計(サイコロ2個、期待値とか) ⑥確率・統計(χ自乗分布を用いた母分散の差の検定)
・大問1、4、6は予想できませんでした。試験科目が数学だけ、しかも出題範囲が絞られている分、範囲の理論、類題はすべて対策しておくべきでしょう。このサイトがおすすめです。
高校数学の美しい物語 | 定期試験から数学オリンピックまで800記事
・統計学は他大では出題されにくい範囲(東大とも違う)なので、ここのためだけに勉強することになると思います。
・今年から解答用紙が特殊な仕様になってした。解答用紙、下書き用紙が上端糊付けされたものが6枚渡されました。それを、破らないように剥がして、学部、学類、名前、受験番号、大問番号を全てに記入します。社会工学類の場合だと12枚です。学類によっては、書く枚数が多すぎて試験開始後にも名前を書いていたそうです。
・メモ用紙ではなく、「下書き用紙」なのでこちらにも回答しなければならない、というわけではないようです。メモ用紙のように使っても使わなくてもいいです。ややこしい。
・私の見立てだと、偶数年の試験は奇数年よりずっと簡単です。H30年に試験を受ける人はチャンスだと思います。
二日目日曜日面接
面接
15:30~
・受験者数:
社会工学の場合は17人中3人合格 倍率5.7倍
・呼ばれる順は受験番号が若い=願書を早く出した人
・学類によっては60人とかいるので、早く願書を出さないと最悪で2時間程度待つことになります。その間、電子機器の使用は禁止です。暇つぶしの用意がないときついです。
・各学類違う面接官、面接室が2つ
・基本は10分間
・面接官は学科の年配の先生と若い先生の2人
・かばんを外の机に置く→ノック→受験番号と名前と学校伝える→はじまるという流れ
戦略
・移動式の黒板が、受験者と面接官に対して斜め45度に置いてあります。誘導すれば解き直しをさせてもらえるというのは本当のようです。
・筑波の理工学群は、事前提出処理が少ない。調査書も、志望書もありません。よって、面接官は当日試験とTOEICの点数しか知らない状態であなたを判断することになります。
・これまで課外活動や資格取得に頑張ってきた人は、無理やりねじ込んでアピールしていくしかありません。
・筆記試験を頑張ろう。面接は形だけ。
聞かれた内容
「志望動機を教えて下さい」
「やっている課外活動の内容について教えてください」
「試験の出来はどうでしたか?」
「英語が得意なんだね(TOEICを見て)」
「都市環境コースではなく、社会経済コースを選んだのはなぜですか?」
「統計学や数学の知識を使って何をしたいのですか?」
「やりたい研究は?」
筑波大学を受験してみて思ったこと
TOEIC点は全然加点されません!!それが英語筆記試験の代わりであろうと、当日の数学筆記試験のほうがTOEIC点よりも大きな割合を占めているように感じられました。数学の点数で足切りをし、面接とTOEICスコアで見極めるという形になっていると思われます。何点持っていても安心ではないです。
ちなみに、今年受験者17名、そのうち合格者3名、そのうち東大合格者が2人、よって実質編入するのは1人以下です。例年は、4〜5人獲得していた印象がありますが、最近噂であるように筑波大学は編入学の定員を減らす流れにあるのではないでしょうか。さらに、旧帝大の滑り止めによく使われることも考えると倍率はとても高いです。今後はさらに(倍率の関係で)難しくなっていくことが予想されます。
私がなぜ東大を選んだのか 〜高学歴信仰について思うこと〜
「なんで東大に行きたいの?」
「いい学歴がほしいから?」
東大に合格が決まった今、たまに冗談交じりにこんな質問をされます。この質問への答えはNOであり、YESです。簡単に答えられる質問ではないんですね。
ただひとつ言えることは、学歴を手に入れるためだけに選んだというわけではないこと。盲目にネームバリューのある大学を選ぶことは、私は間違っていると思います。今からお話する「高学歴信仰」についても、私は長い間反対の考え方を持っていました。東大に進学する必要なんてないと思っていました。それが少しずつ変わってきた理由についてお話します。
高学歴信仰
高学歴信仰とは
日本はまだ学歴社会です。高学歴であれば就職も楽、官僚の席は用意されていて出世も早い。真実はわかりませんが、噂でよく聞くことですよね。
「良い」高校や塾の指標の一つに、東大の合格者数があります。進学した人はその後の成功が約束されていると思われています。
合格報告をしただけで進学校出身の友達から「ビッグになったな」と言われてすごく違和感を感じたのですが、進学校では「東大に行くやつは偉くなるぞ」と教育されてきているのでしょうか。
とにかく高偏差値と言われる大学に進学したやつが偉い、高偏差値であればあるほど質の良い学びが得られる、このような考えのことを「高学歴信仰」と呼ぶことにします。
矛盾点
私はこの「高学歴信仰」に反対の立場を取っています。この考え方の矛盾点は探せばいくらでも出てきます。
勉強できることと、仕事ができることは全く別である
企業は高学歴フィルターによって学生を選別すべきではありませんし、成長を見込むこともできないはずです。
よく言われる「 東大生はコミュニケーション能力が低い」
この記事における4分の1という統計データが正しいのかどうかはさておき、高校以前からの勉強の積み重ねによる社会性の欠如が、コミュニケーション能力の欠如に繋がっていることはもっともらしい考え方です。
実際に世界での認知度は…
低いです。期待して読むと後悔しますよ。
私の周辺の外国人に東京大学を知っているか聞いてみたところ、留学生や日本での生活経験がある人は日本人と同じく「もちろん知ってるよ!頭いいところだ!」という反応を示してくれました(10人中10人位)。
しかし、外国に住んでいる大学生の友達、及び社会人たちからは「知らないなぁ」という声が続々と上がり、悲惨な結果でした(およそ30人中2人)。
なかでも、今年の世界大学ランキングで10位だった、アインシュタインの母校として有名なチューリッヒ工科大学に通うスイス人の友達からは「ごめん、日本の大学とか全く知らないわ」などと言われてしまいました。そこで話したのが「正直海外の大学で分かるのって、CITとかMITとか、トップ20くらいに入っていてかつよくニュースになっている大学だよね」ということです。自国以外の大学なんてあまり気にしないです。チューリッヒ工科大学(通称ETH)を知っている日本人もどれだけいるのか不明ですからね。
今年、世界で46位という地位に転落した東京大学も「日本において最強」と威張ることはできても、それを世界から見たらどんぐりの背比べで滑稽であることは間違いないです。だから、学歴というものが存在するならば、日本国内では通用するけど海外では意味ないよってことです。
東大のすごいところ
研究費がめちゃくちゃ多い
データが少し古いですが、毎年支給される科学研究費の額が圧倒的です。それ以外にも、産学官連携による補助金も他大学を引き離して多くもらっています。
教育の手厚さ
個人的に一番大事だと思うのは、ST比です。これは、教員一人あたりの学生数を表します。数が小さいほど手厚い指導ができるということになります。
雑誌からの引用なのでソースは見つかりませんでしたが、単純な計算をすれば確かめられます。
東京大学 6.9
京都大学 8.3
大阪大学 7.3
東京工業大学 8.1
全体として国公立大学は10前後、私立大学は20前後の傾向があります。その中でも極めて小さい値をもつ東大は、優秀です。
留学生数が多い
国立大学の中では圧倒的1位、さらに全体でも早稲田大学についで2位です。早稲田が東大の約2倍の学生数であることを考慮すると、かなり多いです。6割くらいが中国の留学生らしいです。留学生が多いと何がいいかって、外国語を教えてもらうこともできるし自分の視野の幅も広がるし、モチベーションアップにもなります。かなり大きな要素として捉えています。
学生起業に対する環境が整っている
スタートアップについての講座があり、施設や各種手続きの手配も手伝ってもらえ、ベンチャーキャピタルや、エンジェル投資家が東大周りに集結しています。東大発ベンチャーの数が他大学より多いことも納得できます。
「高偏差値の大学に努力して行かなくったって、自分で起業して儲ければいいんだ」というのは間違っています。なぜなら、学生起業の9割は破産すると言われているからです。
ノウハウもあって、支援も手厚い環境にまず自分の身をおくことが、事業を継続させ、同時に学業に取り組むことで、失敗時のリスクをカバーできる賢い方法であることがわかると思います。
結局、高学歴信仰は正しいのか、間違っているのか
結論から言うと、今はわからないです。
なぜなら、人伝いで聞くだけで内情はよくわかっていないからです。人それぞれ感じ方に差異があり、バックボーンやゴールも異なるため、「何をもって成功者とするのか」は、一概には決められません。
このことから、もし、高学歴信仰を否定する立場に立つのならば、高学歴を手に入れて実際に経験してみてからであるべきだと思います。「東大に行く意味なんてない」なんて世間で言っている人は大概が東大卒ではありません。その人の話を聞いて決めつける前に、自分が実験台になろう。高学歴信仰を内部から否定できるような存在になろう。そんな考えを持つようになりました。
まとめ
私が今まで高学歴信仰に否定的だった理由として、表向きには、上の様なニュースを引き合いにしていました。しかし、自分を内省してみると心の奥で大学生に対する羨み・嫉妬があることに気が付きました。中学時代の友人達が次々に国公立大学に進学していく中、当時学力的に同等であった私は未だ、高等専門学校生です。高専ではなく高校の進学校に行っていたら同じようになれたのかと、いつもいつも考えていました。
大学受験のために3年間受験のための勉強を詰め込んできた人たちよりも、専門性、実習経験と資格を5年間で獲得してきた高専卒のほうが企業には即戦力であると思います。しかし、社会的には大卒の方が優遇され、そのことが許せなかったのだと思います。
でも、この「羨みや嫉妬」という負の感情は、「憧れ」の正の感情へと変換することができます。
自分が上の大学に行けない理由、それは明白です。ずっと勉強から逃げてきたからです。塾にも通ったことがありませんでした。小・中学校受験はおろか、高専は推薦入試を選びました。高専では単位が取れる範囲までの勉強しかしてきませんでした…
逃げていたんです。自分の力を図られるのが嫌で。このやったもの勝ちの受験勉強だけで、能力を決められてしまうことに。
だったら、やればいいだけですよね。逃げずに、やったもん勝ちの勝負に挑めばいいのです。失敗したっていいのです。入学試験ではその人の本当の実力を測ることは出来ず、いろいろな要因が重なってきます。運が悪かった、相性が悪かった、そうやって言い訳をしたっていいのです。
しかし、ひとつだけ言わないで欲しいことがあります。
「東大に行ったって意味ないし。」
実際受かってないのにそんなこと分からないですよね?
僕だって英検一級が受からなくて、「だって一級の単語なんて生活で全然必要ないしーー!」って言いたくなりますが、言わないようにしています。だって受かってないんだもの。翻訳家、外資のビジネスマン、英検一級単語が必要な世界もあるのかもしれません。必要かどうかは、その人たちにしかわかりません。
だから、高学歴信仰が正しいかどうかの検証は、任せてください。
え、私からの話だけでは感じ方に差異があるから決めつけられないって?なら、あなたも東大に入りましょう。入り方は簡単です。逃げずに挑むだけです。
どの大学を受験したいかがわからない人のために、具体的なポイントと順番を挙げてみた
大学編入試験の受験料はおよそ3万円です。交通費、宿泊地等合わせたらNintendo Switch買えちゃいますね。その他にも時間と労力を費やすことを考えると決して無視できる出資ではありません。
適当に受験校を選んでしまったせいで面接時の志望動機が曖昧になってしまったり、受かってから後悔することがあります。第一志望から滑り止めまで明確な理由を持って選択する必要があります。
前回の記事では、就職か進学か迷ったときの解決案を出しました。
進学を選択したとすると受験する大学は何を判断基準に選んだら良いのでしょうか。私は受験校を決めるまでに2年かかりました。そのときに参考にした本や実際に決め手になった要因について紹お話します。
大学を決める要因となるもの
専攻
最近、文系理系関わらず、直感的にわかりにくい名前の学科が増えています。私の合格した東京大学工学部システム創成学科もそうですよね。実際に勉強するのは数学と経済なのにどちらも学科名に入っていませんね。
このように、専攻は多様化・細分化される流れにあります。そんな今だからこそ、どこかには自分の得意な・好きな分野があるはずだと思っています。もう英語が得意だから英文科、プログラミングが好きだから情報科という時代ではありません。英語の中でも文学作品に興味があれば英語英米文学を、AIについて研究したければ東大よりも公立はこだて未来大学なんて面白いと思います。
大学を選ぶ一番初めに考えるべきことは、自分が何を勉強したいのか、そしてそれはどこの大学でできるのかということです。すると、候補の大学も意外と絞れることがわかります。
研究室
・研究室訪問に行ったことがある
・すでに同分野の研究を行っている
こういったマイノリティ出ない限り、研究室目的で行くのは得策ではないです。「○○研究室に行きたいです」と面接で言ってしまうと、少し興味があって行っただけなのにどうしてか、自分なりの研究へのアプローチ方法は、将来それがどう役に立つのかなど質問攻めに遭うと聞きます。それを通過したところで、研究室配属の際に希望の研究室に入れなかったとするとなんのためにその大学に行ったのか、意味を失なってしまいます。
就職実績
どうしても入りたい企業があって、その企業で働くことを「ゴール」と捉えるタイプの人はいいかもしれません。でも、未来って結局予想できなくて、運に左右されます。大学に通っている間に夢が変わらないとも限りません。「ゴール」は変幻自在なんです。よって就職実績は目安の一つであって決定要因ではありません。
校外プログラム、インターンシップ、留学、サークル
全部同じなので一気にまとめました。
大学を選考する際に、こういった学外の活動も条件に入ってくることは全くおかしいことではありません。大学によって派遣先もその内容も変わってくるからです。中には、大学内で 学ぶことよりも校外で学ぶことに期待している人もいるかと思います。実際、校外学習は知識以外の生きた経験となって、就職活動やその後の人生に大きく役立ちます。
多くの高校、高専では校外活動の範囲は狭く、大学に行ってからその幅広さに驚くことでしょう。「環境」が整っているからです。大学に入学してから勉強を頑張り賢くなることはできても、「環境」を変えてより条件のいい郊外学習を経験することはできません。自分でより良い「環境」に移るしか道はないです。
キャンパスの立地
「環境」から関連して、立地も決定要因の一つに挙げられます。まず、自宅から通える範囲か一人暮らしをしながら通う覚悟があるか。次に、都会がいいのか田舎がいいのか。私は大学は都会の、それも首都圏に住むことが条件の一つでした。
人間関係
自分をいままで一番変えてきたものは「人」であると多くの人が言います。たしかに勉強とか研究とか実態のないものより人のほうが親しみが持てますからね。人生の分岐点に、人の力が動いていることは確かでしょう。大学生にってキーパーソンとなる3つの分類に分けてみました。
先生
学会に頻繁に行くことがあったり、論文を読みまくっている人などは大学教授の名前を知り、ぜひその先生のもとで研究したいと思うかもしれません。しかし、よほど先生の熱烈なファンでない限りはおすすめしません。なぜなら、そもそも先生のことを勘違いしている可能性があるからです。
大学教授のことを知ろうと思うと、普通は人伝いに聞く話、本で読んだ話、もしくはインターネットで検索したことしか出てきません。先生の人柄はもちろん、研究内容の詳細は直接話を聞く以外に完全に把握することはません。
先輩
魅力的な先輩は大学の志望理由の一つに成りえると思います。先にその大学に入学して経験を積んでいる先輩は、あなたの憧れであり未来像です。逆に、先輩がぱっとしない学生生活を送っているように察したら、その時点で学校のことも察しましょう。
私はZENPEN主催の編入説明会で数々の大学生のプレゼンを見て、その中でも飛び抜けて東大生がかっこよくててスマートに感じたことからこの大学行きたいなと思うようになりました。なるべく多くの先輩に会い、学校生活のことを聞くとともに、その人は自分の理想を兼ね備えている人かどうかをチェックしましょう。
これまでの説明会はYoutubeにupしています
— ZENPEN (@zenpen_hennyu) 2017年8月30日
ここでしか聞けない編入学の実態
知り合いの先輩がプレゼンしているかも!https://t.co/ewS9rmohuM#ZENPEN2017
同期の仲間
とても大事です。今のあなたのクラスの仲間を思い浮かべてみてください。彼らはあなたにとってどんな存在ですか?お互いを刺激し、高め合える存在ですか?手の届かない優秀な人達ですか?はっきり言って、足手まといの小学生ですか?大学に行ったら、最低でも2年間一緒に過ごす仲間です。あなたが彼らと過ごしていて満足できるような仲間のいる場所を目指しましょう。
まとめ
進学についても、就職についても言えることなのですが、進路を選択する際に消去法で選ぶ のではなく、自分の「やりたいこと」「好きなこと」から考えるとあとからこの選択をしてよかったと思うことができます!
大学入試ならまだしも、編入試験を受ける人はなにか勉強したいことがあるから受験しますよね。それが今の専攻と同じでも、違っていても自分のやりたいことならいいと思います。
最初に、この「学問」を学ぶためなら時間を費やしても良いと思えるような専攻を選びましょう。
次に、「環境」が整っており満足できるかを確かめましょう。
最後に、「人」の印象はどうでしょうか。自分を成功に導いてくれそうな人を探しましょう。
大学は人生で何度も気安く入れるところではありません。滑り止めの大学でも、いざそこに行くとなったとき行きたくないと思うようでは受験する意味がありません。しっかりと時間をかけて、いろんな人にアドバイスを貰って、自分と向き合って将来のことを考えてみましょう。
就職か進学か決められない君へ
私の通う高等専門学校の某学科は、就職と進学の選択をする人の比率がだいたい同じです。高等専門学校は就職率が良いことで有名で、ここまで進学率が高い高専は珍しいと思います。なぜ就職をするのか、またなぜ進学をするのか周りで多くあげられる意見をまとめて、考察してみました。
就職する理由
・もう勉強したくない
レポート、実験、定期試験に追われながら将来役に立つ知識が得られない学校にうんざり。「丸暗記させられた知識なんて意味が無いんだ!」と気付く人が大勢います。勉強が自発的な知識欲からくるものではなく、タスクを消化する感覚でやっているなら危険信号です。無意味な勉強をする続けるよりも一度社会経験を積んでみたほうが、成長が期待できます。
・お金が必要
家庭の経済状況がよくなく学費の支払いが困難であるから就職を選択するという理由は筋が通っています。しかし、それは解決策のうちのひとつであり、別の方法をとることもできます。例えば学費のかかる私立大学ではなく、学業を頑張り奨学金をもらいながら国立大学に通うことだってできます。親の財政を支援することは親切なことだと思いますが、必要なことであると私は思いません。あなたの人生です。
・今の学校からの就職実績がよい
これは理にかなっていますね。大学から入るよりも、高専から入るほうが楽である場合が多々あります。高専の学生はインターンや進路説明会でよく聞いておいてほしいのですが、高専が就職市場でかなり優遇された環境にあることは間違いないです。ただし、理由がこれだけだとその企業で働くことを「ゴール」と捉えているのかと思ってしまいます。
進学する理由
・まだ働きたくない
親の金に頼って、だらだらと時間をすごして生きたい人たちの意見ですね。迷って迷って結局自分に甘えてこの選択をする人、意外と多いです。
・きらきら大学生活を楽しみたい
高専独特の意見でしょうか。サークルやったり、文化祭でドラマがあったり、最新設備使って研究に打ち込む日々…そういった体験をしてみたいといと思っちゃいますよね。私です。
・「短大卒」の資格では満足せず、箔をつけたい
次の記事(準備中)の高学歴信仰*1にも共通するところがあります。プライドが高い人が陥りやすい病気です。学部卒、院卒のほうが将来的に給料が増えることは統計的に実証されています。しかし、この意見の人はお給料よりも体裁に重きを置いている印象です。
市場は「高専」をどのように評価しているか 矢野眞和 - KOSEN発「イノベーティブ・ジャパン」プロジェクト
まとめ
これまで、進学したい!就職したい!という両方の意見を分析してみました。現時点で、明確な理由があるなら決められるけど、特になければ消去法で選ぶしかありません。消去法で選んだ結果、両方へのやる気がないということがわかり、ニートになってしまった。そんなこともありえます。
だから将来、学業や仕事に力を入れて取り組んでいくためには、消去法ではなくて、明確な理由が必要です。自分の「やりたいこと」「好きなこと」を知っておく必要があります。
高専は5年間あります。その長い時間で自分と長く向き合いあい、いろいろな体験をし、気づきましょう。私は「高専からの就職では希望の職種に就くことができず、分野変更を伴い0スタートのため、経営論、マネジメント論やプログラミングを勉強したい」と思い進学を決めました。
あなたの理由は何ですか。
*1:高学歴が偉いと信じている人たちのこと